83年生まれの私から見た同世代とヲタク


オタク趣味以外にアイデンティティを補強する手段を持たない人達(汎適所属)

う〜〜〜む・・・いちよ私は第三世代*1の「ヲタク」に分類される人間ですが、ここで言われている第三世代像のヲタクって相当レアな存在だと思う・・。
まず、そもそも「オタク趣味オンリー」な奴自体が少ないと思うのですよ。

音楽やスポーツ等の趣味をこなしながらも、オタク趣味をやるというのが私の同年代には多いように思えます。
例えば私の場合、オタク趣味以外にも空手やサッカー(やる方)アクアリウム、中学高校の時は釣りもしていました。
私と同世代の「http://d.hatena.ne.jp/terasuy/」のid:terasuyさんもオタク趣味以外にも陸上とかやっていますしね。
こんな感じに、オタク趣味以外の趣味を持っている「兼業オタク」な奴が私の回りには非常に多く、オタク趣味オンリーな「専業オタク」な奴もいましたが、その場合でも色んなオタク趣味に足を突っ込んでいて「○○ヲタ」みたいに一言では言い表せない存在でした。

ヲタクは非モテではなくなった

それゆえかもしれませんが、「オタクだからモテない」ってのがいまいち私には実感できないのですよ。
83年生まれなので、宮崎事件の影響も殆ど受けていませんし、中学の頃にはエヴァブームがありましたお陰で、「オタクバッシング」的なものは同年代から殆ど受けていないのと、「オタク趣味」な女性や腐女子といった存在も認知していた事、多趣味、そしてネットの出現によって、普通に彼女のいるヲタク仲間はそんなに珍しくはありませんでした。
特にネットと携帯の発達は色んな出会いをもたらしてくれました。
私の高校時代のヲタな友人の一人はお絵描き掲示板で知り合った中学生の子と仲良くなり、大学進学後付き合いだした奴がいました。コスプレや801趣味等の女性の多い趣味にも足を突っ込んでいたヲタ仲間は、かなりモテていてリアル学園ラブコメ謳歌していましたし、携帯やネットの出会い系で同じ趣味の彼女を作った奴もいました。

結構主体的でした

って私は思います。なぜかといえば私達の世代が物心ついて思春期を迎え、そしてこじらせる頃、ちょうど中学や高校生だった時代*2、オタクカルチャーは拡大期を迎えていたからです。
アニメで言えばエヴァは勿論、角川・大月アニメがブイブイ言わせていましたし、深夜アニメもこの頃増え出し「トライガン」や「lain」「星方武侠アウトロスター」などなど、良く夜更かしして見ていました。(今もですが)
漫画は既存のジャンプやマガジンと言った古くからある漫画雑誌以外にも、「少年エース」「少年ガンガン」や「電撃コミックガオ!」といった新しい漫画雑誌が次々と誕生し、その頃のジャンプも「るろうに剣心」や「スラムダンク」といった結構なラインナップを揃えていました。
そしてゲームで言えば、「セガサターン」や「プレイステーション」といった次世代機が「スーパーファミコン」にとって変わり、コンシュマーゲームはその後「サクラ大戦」や「ファイナルファンタジー7」といったヒット作に恵まれ、ゲーム人口を拡大させ、さらに18禁ゲーム業界でも「leaf」や「アリスソフト」等による良作のエロゲービジュアルノベル形式の定着化と「kanon」や「Air」といった泣きゲーの出現等によって、エロゲー業界も膨張傾向にありました。
つまり、多様な人種を飲み込むパワー(作品)をあの時代は十分有しており、追い立てられて〜というよりも「作品」に惚れこんで主体的にオタク趣味に没入していった者がかなりの数いるという事です。

そして宮崎事件の記憶も薄れていた事もあり、趣味が一つ増える程度といった感じに割と皆あっけらかんとオタク趣味に染まっていたように記憶しています。*3

世代としての問題

私たちの世代、少なくとも80年代前半生まれの人間は、はっきり言って「マイペース」です。*4
なぜかといえば、様々な価値観や制度が崩壊した先の見えない90年代に青春時代を迎え、混沌として不安定な時代を自分自身で模索するしかなかった事と、個人主義化と趣味による細分化によって、「私たちの世代を代表する作品はコレ!」と呼べる作品が殆どないからです。皆でワーっと盛り上がるブームなんて中学の頃のJポップブームくらいで、オタクも非オタクも知っている、共通言語たりうるモノが少ないのです。
そのため、クラスの内部で行事以外で全員がいっせいに盛り上がる事なんてめったに無く、学校行事ですら平気でボイコットする者も珍しくありませんでした。*5
クラスはスクールカーストどころか、様々な趣味や出身校とかで細分化されたグループに分裂していたので、一概にこいつはAクラス、あいつはBクラスといった序列化がそれほど強固ではなかった。
つまり世代としてまとまる事が殆どなく、皆バラバラだったと言う事です。

それはオタク趣味を共有する者達の間でも例外ではなく、作品やコンテンツが増えた分「知らない作品」「やった事ない作品」も増え、ヲタク仲間全員が「知っている」作品なんて殆ど無かったといっていい状況でした。また一つの作品に深くはまる前に、次の作品が出てくるので、表面的にしか消費できなかったりするので、そもそも「優越感ゲーム」どころではなく、「繋がる事」もままならなかったのです。それゆえに「キミとボク」の繋がりを重視した「セカイ系」がもてはやされるようになるんですが、その話はまた別の機会に・・・。

まとめ

なんかオタク第三世代後半から第四世代なお話になってしまいましたが、オタクとして薄くなった反面、オタク的な負の側面も薄くなっているという事と、同世代内部の交流が希薄になっているのでスクールカースト同調圧力も弱くなった反面、孤独化して繋がりを求めているという事です。*6
要するにオタクが死ねばオタクの負の側面も死ぬって事。

*1:「第三世代」一つとっても、70年代生まれと80年代生まれはかなり違う。

*2:90年代、私で言えば90年代後半

*3:だからオシャレなオタクが結構いたりする

*4:「まったり」という言葉がはやったけか

*5:これが今の学級崩壊とかに繋がっていくんじゃないかな?

*6:だから携帯やMMOとか大好き