現代学園異能についてアレコレ

あまり聞きなれない言葉ですが、「現代学園異能」という言葉があるそうです。

学園異能とは - はてなキーワード

日常と非日常の対比を物語のテーマに据えたもの。

そのギャップを明確にするため

「日常」 =学園での平穏な生活
「非日常」=異能の力による闘争
「二つの対比」=ギャップによる葛藤
以上のような、構成をとることが多い



一言で言ってしまうなら

「学園で生活しながら不思議な力で戦ったり悩んだりする物語」

である。

っと、いう事らしいのですが、私が思うに現代学園異能って、オタク的に翻訳され、再解釈された「学校の怪談」や「学園七不思議」じゃないですかねぇ?

日常の普段の学校生活と、非日常な異能や異形との遭遇や怪奇現象。
そのギャップに恐怖し、様々な作品が作られた学園ホラー。

もともと学園物のホラーに出てくる異能や異形の存在って、訳の分からない、えたいの知れないモノ。
つまり幽霊やら妖怪やら悪魔といった実体の掴めないオカルティックな存在であって、だからこそ登場人物たちは「恐怖」を感じ、畏怖や脅威の対象であった訳だけど、それが少女という実体、媒体を手に入れた事によって、それと相対した登場人物、つまり主人公の少年は「葛藤」をするようになったっというか・・・。

何故「葛藤」になるかと言えば、異能や異形の存在が「少女」という媒体を用いているがゆえに、ボーイミーツガールの原理で恋愛という側面が、つまり日常としてのラブコメが存在し、その反面、異能で異形な側面、非日常な異能力バトルが存在する。
要するに、少女その物が日常と非日常を内包しているのである。*1
その為、少女と関わった少年は、この日常と非日常のギャップに苦悩し葛藤する。

現代学園異能への流れ

では、何故「現代学園異能」という作品群が生まれたのかを、ちょっと考えてみる。
70年代、オカルトブームによって日本各地に散見していた都市伝説や怪談話がクローズアップされ、脚色されたりなんなりして、全国的な物になり*2学校進学が当たり前の時代となった事から「学校の怪談」や「七不思議」なんてのもこの時期に成立した物と思われる。

80年代に入り、ニューエイジムーブメントによって、超能力や超自然、黒魔術等の要素が加わり、異能や異形の存在が恐怖の対象としての物だけではなく、サブカルチャーとしての要素としてもとらえられ始め、84年には、映画『風の谷のナウシカ』が放映され、88年に超能力バトルアニメな映画『AKIRA』が放映。
こうして、80年代までに日常と非日常を内包したオカルト的な存在としての学校のイメージが作られ、戦闘美少女や異能力バトルのモチーフも作られる。

そして90年代、書籍『学校の怪談』を皮切りに、映画やテレビドラマなどで、次々と『学校の怪談』が作品化され、ホラーブームを巻き起こす。
95年に、『新世紀エヴァンゲリオン』が放送され、エヴァブームとともに、葛藤する思春期の少年少女というモチーフが一般化。*3
これにより現代学園異能を構築するモチーフがある程度で揃ったと思われる。
そして、これはラノベではなくエロゲーですが、学園異能チックな『雫』が96年に発売し、97年には『アトラク=ナクア』が発売され、98年にライトノベルブギーポップは笑わない』が出版される。


っとまぁ、時系列にそって、適当に考えてみました。
まとめると、「学校の怪談」をニューエイジで染めて、異能を少女に背負わせ、少年とボーイミーツガールさせてできたものが、現代学園異能じゃないのかって話。*4

*1:だからhttp://d.hatena.ne.jp/ama2/20061202でいわれているように、ジワジワと非日常が寝食していくのではなく、いきなりコロっと日常と非日常が切り替わる。

*2:口裂け女も70年代にブームとなる

*3:エヴァ自体も、普段の日常と使徒ととの戦闘である非日常が存在する

*4:トイレの花子さんが主人公の仲間になって、恋愛したりしながら、他の幽霊達と戦えば、現代学園異能じゃね?(ぇ